トマトケチャップ開発秘話(1)今帰仁産トマトとの出会いと農業の課題

January 14, 2018

 

既に直接お話している方もいらっしゃいますが…。

 

実は今、トマトケチャップを開発しております。

 

 

古くから私を知る人なら「又吉演、どうしちゃったんだ?」と思われるかも知れませんね。

出版や映像やIT、観光分野に関しては、それなりに実績もありますが、食品とか飲食とかの分野は、ほぼ関わってこなかった分野。新しいチャレンジとも言えます。

 

まぁ、聞いて下さいな。

 

実際、今帰仁に来るまで私は野菜なんかまーったく興味ありませんでした。

そもそもお肉大好き。野菜そんなに食べない人です。

 

 

6年前。那覇から今帰仁に引っ越して来て、まず一番驚いたのが、野菜の美味しさでした。

特にトマトは驚いた食べ物の一つで、今帰仁のトマトの美味しさには、正直驚きました。

トマトの時期になると、毎日のようにトマトを食べ、今帰仁のどこの農家のトマト美味しいか?をちょっと語れるくらいにはなっていました。
 

今帰仁のトマトが美味しすぎて、現在、外食とかで普通にトマト食べても、美味しいと感じる事が殆どなくなってしまうという、嬉しいんだか、悲しいんだか、何とも言えない状況となっています。

 

那覇と今帰仁と、車でたった1時間半くらいの距離です。それだけしか離れてないのに、何故こんなにトマトの味が違うのだろう?

 

不思議に思って今帰仁の人に聞くと、答えは単純でした。

収穫の時期。そして、収穫から店頭に並ぶ時間。

これが圧倒的に違う。

 

那覇のスーパーに並ぶトマトは、出荷時に赤くなるよう、完熟になる前の状態で収穫されます。畑から流通の間の時間。スーパーに並んでる時間も含め、なるべく長時間、日持ちするトマトが流通業者、小売業者にとっては良い訳です。

通常は、少しオレンジの色味がついた催色期という時期に収穫する方が多いようですが、場合によっては緑白色で着色していない状態(緑熟期)に収穫するケースもあるようです。

 

当前、そういったトマトは、完熟で収穫したトマトと比べると、味も栄養素も劣るトマトとなります。

 

那覇で普通に大きなスーパーで買っていたトマトは、そもそも県外産が多く、完熟には程遠いトマトでしたが、今帰仁の地元の商店に並ぶトマトは、割と完熟に近い状態で収穫し、採れたてに近い状態なので、美味しい。という、理屈を聞けば何の不思議もない話でした。

 

驚いた事二つ目。

それは今帰仁の商店には収穫時期ではない野菜は売っていなかったり、あっても少ないという状況。

 

那覇の大手スーパーには、年中トマトがあり、キャベツや白菜、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、何でも置いてあって、それが当たり前だと考えていました。外国産こそ、抵抗あるものの、北海道産!とか熊本産!広島産!なんて書かれてると、県産より美味しいかも。なんて思ったりした訳です。

 

今帰仁は、パイナップルや果樹に向く酸性の強い国頭マージ、さとうきびや野菜に向く弱アルカリ性の島尻マージ、稲作に向く沖積土という3種類の土壌があります。

土壌が単一なら、同一品種大量生産が可能ですが、今帰仁は3つも土壌があるので、同一品種大量生産は難しく、むしろ多品種少量生産しか出来ません。

 

もともと農家も多い上、アタイグワァーと沖縄方言で呼ばれる家庭菜園も多く、結構な種類の野菜が育てられていて、商店には旬の一番美味しい時期に、美味しい今帰仁産の野菜が並び、季節外れの野菜が欲しければ、お隣の名護市の大手スーパーに買いに行くような状況です。

 

「野菜は年中あるもの」という常識は、生産の現場に最も近い田舎では、むしろ非常識だった訳です。

 

驚いた事三つ目。

 

「農家も農業も農協も農業関連行政もやばい事になってる。」

 

まず農家。減ってます。びっくりする程減ってます。そして高齢化してます。

農家は自分の子供に農業をさせようとはしません。自然相手でハイリスク。ハイリターンがある事もありますが、儲けも長続きしないからでしょう。

 

昭和35年。1960年から、ずっと減り続けています。

高齢化もどんどん進んでいます。

 

那覇にいる頃、農業については本当に全くと言っていい程考えてなかった私。農家の皆さんは日の上がる前の早朝から日暮れまで、大変な思いでお仕事をされている…と思っていました。

…いや、確かにそういう方もいるでしょうが。

 

 沖縄の農業の主力であるサトウキビは植付けの時と、収穫の時くらいしか畑に行かないという事実を目の当たりにしたり、これまた考えてみれば当たり前かも知れませんが「どれだけ手間を減らし、収穫の効率を上げ儲けるか?」という部分が凄く進んでいて、例えば煙草の葉が儲かるとなると皆が煙草の葉を作り、値崩れし、儲からなくなり。スイカが儲かるとなると、皆がスイカを作り、値崩れし、儲からなくなり。マンゴーが儲かるとなると皆がマンゴーを作り、値崩れし、儲からなくなる。

 みたいな事を結構昔からずっとやっている事も分かってきました。

 

今帰仁は小菊の栽培がさかんです。菊の栽培には夜に菊を照らす「電照菊」があります。昔から、私はこの電照菊が凄く綺麗で大好きだったのですが。

 食用ではない菊は、農薬が使い放題。なので、菊畑の近くには野菜などの畑は作れないし、土壌も菊しか作れなくなってくる。という事も初めて知りました。

 

スーパーに同じ大きさ、同じ重さの野菜が並ぶ一方、今帰仁には大きさも重さも違う、誤解を恐れずに言えば「見てくれの悪い野菜」が驚くほど安い値段で販売されています。

形が悪いのは安く出荷するしかないのです。そして、ちょっとした傷でも付いたら、それは破棄されます。私は「鉄腕DASH」という番組が大好きなのですが、番組には「0円食堂」という企画コーナーがあります。全国の色んな地方に行って、レギュラーの「TOKIO」のメンバーが、その土地々々で<捨てている食材>を譲り受けて料理をし、食材を提供して頂いた方と食べる。という企画。

 何気なく見ていましたが「破棄されるもったいない野菜」は今帰仁で生活すると、もろに目の前で見る事になり、何とかならないのか?という気持ちになりました。

 

役場の農業担当と農業の話をしても「確かに農家は減っているし、高齢化も進んでいるけど、農業の収益はそんなに減っていないし、最近は若い跡継ぎの農家もヤル気を出して動き始めている。」と前向きのように聞こえますが、危機感が不足しているようにも思えますし、打開策が考えられていないような気がしてなりません。

…いや、農業関係者にあえて言わせて頂ければ、そもそも打開策がうまく機能していれば、農家は増えるはずなのです。国のせいなのか、地方自治体のせいなのか、農協のせいなのか、農家のせいなのか国民のせいなのか。私にはわかりません。「原因と結果」という単純な話でもないでしょう。

 

農業に興味を持ち始め、情報を集めるほど、状況は楽観出来ないと感じるようになりました。

 

ただ「何かのせいにして自分は何もせず不平を言う。」という状況が私は何よりも嫌いなので。

 

「素人考え」ではありますが、私なりに打開策を考え、実行していく事にしました。

 

今帰仁のトマト。

約40近い農家があります。最盛期には1農家あたり1日10キロ前後の傷が付いたり、形が悪かったり熟しすぎたトマトが捨てられているそうです。

全体で400キロ。これがほぼ毎日捨てられている。あまりにも「もったいない」加工品にすればいいのは関係者の誰もが理解しているものの、では誰がするのか?というと、小さな村ではプレイヤーが圧倒的に不足しています。

 

やってみたいとは思ったものの。

先立つものはやはりお金です。

 

私はプロデューサーです。

「いい企画があって、お金が必要なら、出してくれるところを探す」が基本(笑)

ただ、この企画は少々やっかいです。

 

今帰仁の廃棄トマトを使ったケチャップの開発販売という企画は将来的には成功するかも知れませんが、「即事結果の出る凄い儲け話」ではありません。

そもそも「今帰仁のトマト」は無名ですし、他の地域と比べ何かが優位という事もありません。

沖縄に限っても、トマトは本島中南部でもたくさん作られていますし、全国で考えれば競合だらけです。

スタートに限って言えば「儲かるビジネス」というよりも、どちらかと言うと「地域興し」の企画なのです。

 

お金を出してくれるところ…と言えば、今までは行政の公共事業が私の得意分野でしたが。行政の事業は書類や段取りに手間も時間も凄くかかります。そもそも加工用トマトはキロ50円くらいですし、100キロ買っても5000円。開発費や人件費だ何だと考えても、そんなに大きな投資金額ではありません。今回は話が早い民間で進めたいと考えました。

 

どこに話を持っていこう?

お!あの人なら話聞いてくれるかも!

まぁ、とにかく動いてみよう。

 

さっそく企画書に取り掛かりました。

 

<開発秘話(2)へ>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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